戸建てではどう備えればいい? ゲリラ豪雨の原因と対策

近年、ゲリラ豪雨に見舞われることが増えてきました。その激しい降り方は、短時間で記録的な雨量を計測することもしばしばです。道路の冠水、家屋への浸水といった被害をもたらすこともありますから、外にいても家にいても油断はできません。ゲリラ豪雨が起きる原因、予兆を把握し、対策を考えて備えましょう。この記事で解説しますので、ぜひゲリラ豪雨の防災対策にお役立てください。

  1. ゲリラ豪雨とは?
  2. ゲリラ豪雨の原因
  3. ゲリラ豪雨の予兆の見つけ方
  4. ゲリラ豪雨対策
  5. ゲリラ雷雨から停電が発生する可能性も

ゲリラ豪雨とは?

ゲリラ豪雨とは、天気予報などでは予測ができないほど突発的に降る激しい雨のことをいいます。わりとよく耳にする言葉で、2008年には新語・流行語大賞のトップテンに名を連ねていますが、実は正式な気象用語ではありません。気象庁でゲリラ豪雨を指すときは「局地的大雨」「集中豪雨」のどちらかが用いられます。

参考までに気象庁の定義では、「局地的大雨」は非常に狭い地域で短時間に降る大雨、「集中豪雨」は同じ地域で数時間にわたって降る大雨のこととなっています。雨の降る範囲と時間、状況などから判断して使い分けているようです。

なお、ゲリラ豪雨の中でも雷を伴うものを「ゲリラ雷雨」と呼ぶことがあります。

ゲリラ豪雨の原因

ゲリラ豪雨に見舞われるようになったのは、ここ十年ほどのこと。それまでは「夕立」が、ゲリラ豪雨に該当するものとして認識されていました。
夕立の原因は急速に発達する積乱雲で、ゲリラ豪雨も同様です。

積乱雲は、太陽で温められた空気が地上付近にあり、上空に冷たい空気がある状態、つまり「大気の状態が不安定なとき」にできやすい雲です。
地上付近の湿った空気が水蒸気の状態で強い上昇気流に乗り、上空にのぼります。すると、上空にある冷たい空気に冷やされて氷の粒となり、雲をつくります。気温が上がれば上がるほど大気の状態は不安定になりやすく、空気中に含まれる水蒸気の量も増えるため、発達した積乱雲ができやすくなるのです。

近年の日本の夏は、最高気温が40℃を超える地域もあり、「猛暑」という言葉が当たり前に使われるようになってきました。それだけ、積乱雲が発達しやすいということです。

また、山が多い日本では強い上昇気流が生じやすく、次々に積乱雲が発生することがあります。そのため、いつまでも雲が切れずに集中豪雨が続くということも起きてしまうのです。

ゲリラ豪雨の予兆の見つけ方

ゲリラ豪雨には、次に説明するような予兆があります。
ひとつは、あたりが突然、暗くなること。これは、急速に発達した積乱雲の影響です。あっという間に雲は広がっていくので、「暗くなってきた?」と感じたら、まずは空を見上げて雲の様子を確認するようにしましょう。

雷がゲリラ豪雨の到来を知らせることもあります。たとえ遠方であっても、黒い雲が発生し、そのあたりに雷鳴や稲妻を確認することができたらゲリラ豪雨の可能性が大です。

それまではうだるほど暑かったのに、冷たい風を感じるようになったときも、ゲリラ豪雨に見舞われるかもしれません。冷たい風の発生源は、上空にあった冷たい空気。天気の急変を知らせてくれる目じるしでもあります。

ゲリラ豪雨対策

ゲリラ豪雨の予兆を察知したら、身の安全を守る行動をとることが第一です。
念のため、天気予報をチェックし「大気の状態が不安定になっている」「雷が発生しそう」「急激な天候の変化に注意」などの情報が伝えられていたら、警戒してください。

屋外にいる場合は、雨がよけられる場所を探して避難します。デパートやショッピングモールなどの商業施設のほか、公民館や図書館など公共の施設でもよいでしょう。
地下街は、多量の雨水やあふれた水が浸入してくる危険性があるので、避けたほうが無難です。川の近くや崖のそばにいるときは、できるだけ早くその場から離れるようにします。

思わぬ盲点になるのが、マンホールです。地下で処理しきれなくなった水があふれだし、ひどいときには大きく吹き上げることも……。道を歩いているときは、速やかに屋内に入るようにしましょう。

車の運転はできるだけ避けたいところですが、運転中にゲリラ豪雨に遭遇したときには、できるだけ早く高い場所に移動することが大切です。普段は気づきにくいかもしれませんが、道路にゆるやかな高低差があることも。たまたま低い場所にいて、道が冠水してしまうと移動が困難になるだけでなく、水かさによってはドアも開けられなくなってしまいます。

一戸建て住宅にお住まいの場合は、土のう、止水板、防水シートを用意しておきましょう。土のうは、玄関やシャッター下部からの水の浸入を防ぐ役目を果たします。建物の状況に応じて、止水版や防水シートも活用して対策をしましょう。

また、多量の雨が降ると、下水が下水道を逆流し、トイレ、キッチンの排水溝からあふれることがあります。こういった危険のある場所は、ポリ袋に水を入れた水のうでふさいでおきましょう。

ゲリラ雷雨から停電が発生する可能性も

ゲリラ豪雨の場合、どうしても雨対策に目を奪われてしまいますが、2020年8月、関東地方の広範囲ではゲリラ豪雨が原因と見られる大規模停電が発生しました。停電するとスマホの充電ができませんし、熱中症対策に欠かせないエアコンも使えなくなってしまいます。
ゲリラ豪雨の予兆があったらスマホを充電する、エアコン対応の蓄電池を準備するなどの対策もすると安心です。

ゲリラ豪雨は、ただの激しい雨ではありません。さまざまな被害をもたらすものです。ただひとつありがたいのは、予兆があること。この予兆を対策に生かして災害に備えましょう。急に暗くなる、雷鳴や稲妻、冷たい風などを感じたら、早めに対処してください。慎重に行動すれば、大きな被害を受けずにすみます。

「災害対策」に関する記事一覧

どんな準備が必要? 台風による停電対策

どんな準備が必要? 台風による停電対策

台風が来るという予報がでると、どうしても雨や風への備えに重点が置かれがちです。それも大切ですが、台風は停電を引き起こすことがあります。実は、台風により停電した場...

詳細はこちら

地震の震度とマグニチュードの違いや関係性について解説

地震の震度とマグニチュードの違いや関係性について解説

地震が発生すると、その規模や被害状況を知らせるために「震度」「マグニチュード」という用語が使われます。どちらも「震度1」「マグニチュード7」のように数字で示され...

詳細はこちら

何がどのくらい必要? 防災グッズの必需品リスト

何がどのくらい必要? 防災グッズの必需品リスト

台風、地震などの自然災害は、いつ発生するかわかりません。大きな被害が出ると、通常の生活は営めなくなってしまいます。そんな事態に備えて用意しておきたいのが、防災グ...

詳細はこちら

土砂崩れの前兆は分かるもの? 土砂災害の対策

土砂崩れの前兆は分かるもの? 土砂災害の対策

台風や集中豪雨など大雨が降ると、土砂災害の危険性が増します。家を丸ごと押し流し、さらにはつぶしてしまう土砂崩れの破壊力を、ニュースなどで目にしたことのある人も多...

詳細はこちら

正しく理解して備えよう! ハザードマップの種類と見方

正しく理解して備えよう! ハザードマップの種類と見方

ハザードマップを見たことはあるでしょうか。自然災害が起きたときに欠かせないツールで、全国の市区町村が作成し、公表しています。ただし、どのような自然災害を対象とす...

詳細はこちら

何に注意すべき? 家にいるときの雷対策

何に注意すべき? 家にいるときの雷対策

雷が鳴っているときには建物の中にいるのが安全と思われがちですが、屋内にいても落雷によるさまざまなリスクは生じます。では、実際に家にいるときに雷が鳴り始めた場合、...

詳細はこちら

家族を守る! 一戸建ての台風対策

家族を守る! 一戸建ての台風対策

夏から秋にかけて発生する台風。近年では、台風が直撃した地域でこれまでに経験したことのない規模の被害が発生しているケースも多く、台風発生のニュースを耳にするたびに...

詳細はこちら

エアコンは使える? 蓄電池で停電時にできること

エアコンは使える? 蓄電池で停電時にできること

災害などで長時間の停電になったとき、家庭用蓄電池と太陽光発電システムを導入していれば、停電中でも家庭内の電気製品を使うことができます。実はどんな蓄電池でもOKと...

詳細はこちら

あって良かった! 災害時の太陽光発電活用

あって良かった! 災害時の太陽光発電活用

太陽光発電を導入していれば、災害時に長時間の停電があったとしても電気を使うことができます。ただし、停電したときに自動的に太陽光発電による電力供給に切り替わるわけ...

詳細はこちら