吾輩はトラネコなり。
コタツは好きだが、日本の蒸し暑さにはそれほど強くないのだ。
エアコンは命綱。
なのに、最近は停電のウワサをよく耳にするのだ。
なぜだ。なぜなのだ。飼い主はどうしたらいいのだ。
誰か、誰か、教えてはくれまいか…。

ニュースや気象情報を見ながら「“数十年に一度”という言葉、毎年聞くなぁ…」と思っている人も多いのでは…?こうした大きな自然災害の後には停電が発生しやすいといわれています。さて、停電に対して私たちはどう備えるべきなのか、地域や研究機関などで活躍するキーマンに伺います。

前編に引き続き、メディアでも活躍するこちらも「防災のプロ」、備え・防災アドバイザーの高荷智也さんに、在宅避難のポイントをお伺いしました。

備え・防災アドバイザー 高荷智也さん
備え・防災アドバイザー 高荷智也さん

前編はこちらから

被災生活で命を落とす人も。
「在宅避難生活」の準備も、「死なないため」の準備。

前編で、高荷さんの対策は「まず命を守る」、その次に「在宅避難を想定」というポイントをお伺いしました。命が助かった後の生活は、対策をしていないとどうなるのでしょうか。

その後の被災生活について考えてみましょう。近年の災害では、大地震や水害などの災害による直接死と並んで「災害関連死」が主要死因になっています。これは、災害そのものではなくその後の被災生活で体調を崩して亡くなるもので、日本では亡くなった方のうち9割が高齢者です。

中には避難生活のストレスで体調を崩される方もいるので、やはりできる限り自宅で暮らせるよう備えておくことが大事ではないかと思います。それには大地震に対する室内の安全対策と、備蓄品が必須です。特に家族に高齢者や要介護者、医療機器が必要な方、乳幼児や妊婦さん、そしてペットなどがいる場合は、それに応じた備えも必要です。そうでないと、初動で命を守れても、その後の生活の中で震災関連死を招きかねません。

ぜひ一度、ペットも含めて家族全員を見渡して、「どうしたら全員が死なないか」をよく考えてみてください。多くの人は、命が助かった後のことは考えても、死ぬことまではイメージしていないでしょう。私としては、この記事を読んでいる皆さんに「死なない準備はお済みですか?」と伝えたいです。

必要な備えは、首都圏と地方では違ってくるのでしょうか。

首都圏や都市部は「同時に被災する人数」が多くなるため、支援が行き届かなくなる可能性があります。また、首都圏から地方に支援物資を送ることはよくありますが、その逆はなかなか難しい。そのため、首都圏や都市部の人ほど自助が大事になってきます。

また、都市部に多い高層マンションは、停電してエレベーターが止まると上層階の人ほど身動きが取りにくくなります。若くて階段の登り降りが苦にならない人ばかりならいいのですが、高齢者はそうもいきません。災害関連死を防ぐためにも、上層階に住む人ほど充実した、かつ家族構成に合った「ウチ的」備えが必要でしょう。

お子様が小さいころに用意していた「赤ちゃん防災セット」
お子様が小さいころに用意していた「赤ちゃん防災セット」。その時に合った防災グッズを用意する必要がある。

そんなに多くの人が…
在宅避難の対策も、真剣に考えないといけないことがよく分かるぞ。

防災対策、防災への関心が薄れているときこそチャンス

近年、社会全体や企業で防災対策への関心は高まっているのでしょうか。

企業での防災対策は、「やったほうがいい」から「やらなくてはならない」に変わってきていて、災害時に必要なBCP(事業継続計画)の策定に取り組む企業も増えています。それ自体はとてもいいことなのですが、実際に勤務している人たちやその家族、つまり社会全体の防災意識も高まっているかというと、そうではないように思います。

防災への関心は、大規模災害が起きると一時的に高まるものの、熱しやすく冷めやすい国民性のためか薄れるのも早いようです。逆に言えば、この記事で防災対策の必要性に気づいた方は、今こそが実行のチャンスです。

コロナ禍でもそうでしたが、災害が起きると必要なものが一斉に売り切れることがあります。特にSNSで「○○が買えなくなった」などの情報が拡散されると、売り切れや転売目的の買い占めがドッと増えます。これは個人には防げない二次災害と言っていいでしょう。

こうした目にあわないために、食料や水はもちろん生活に欠かせないもの、例えば赤ちゃん用品や介護用品などは、今のうちに在庫を多めに用意するようにしてください。災害が起きてからでは、手に入らなくなる可能性があるからです。

高荷さんの講演の様子
高荷さんの講演の様子。体験も交えた講演は聞きやすく、多くの人が熱心に耳を傾けている。

夏のエアコンもそうだな。真夏日になってから購入したり、修理したりしようとすると、設置がすごく遅くなる時がある。
気付いた時に行動することが大事ということか。

電力需要ひっ迫のニュース、「電力不足」の時代突入!?
家庭用蓄電池のメリット、デメリットは

在宅避難を想定した時、各家庭で備えるべき「電力」について教えてください。

「電気」は絶対備えておくべきだと思います。以前は家庭で電力の備えをする、つまり電気をためておこうと思ったら乾電池ぐらいしか手段がありませんでしたが、今はポータブル電源も進化していますし、一戸建てなら太陽光パネル+家庭用蓄電池の組み合わせや、EV車(電気自動車)などを使って電気をためることも可能になっています。

最近では、初の「電力ひっ迫警報」が発令されたことも話題になりました。依然として、この夏と冬は電力需要が厳しいとの報道が続いています。自宅にこうした仕組みを導入すれば、電力逼迫も停電も怖いものではなくなります。もちろんそれなりの費用はかかりますが、電力に関して個人が防衛手段を選択できるようになったのは大きな進歩だと思います。

日本で「電力不足」が続くとは思わなんだ…。
個人で防衛手段をとる人が増えれば、電力不足も避けられるかもしれん。

家庭用蓄電池の最大のメリットを教えてください。

電力を自給自足できることと、停電しても「停電を感じさせない」ことだと思います。また、設置しているのが太陽光パネルだけの場合は、停電時に使えるのは非常用コンセントだけですが、家庭用蓄電池と組み合わせていれば室内全体に電力を供給できます。つまり、この2つをセットで導入している家庭では、停電時も普段通りの生活ができるわけです。

デメリットをあげるとすれば、はやはり価格でしょうか。これが無料であれば、私としては全員におすすめしたいところなのですが(笑)。ニーズが高まり市場が変化していくことを期待します。

今後、家庭用蓄電池市場はどうなっていくとお考えでしょうか。

我が家は太陽光パネルを設置してから10年がたち、再生可能エネルギーで発電した電力を国が買い取ってくれる制度(FIT)の期間が終了する「卒FIT」の時期を迎えています。私も、これを機に蓄電池を導入するかどうか、今まさに検討しているところなんですよ。

お!高荷さんも家庭用蓄電池を検討しているのか。
リースの太陽光パネルセットプランもあるらしいから、可能な人は試して欲しいぞ。

家庭用蓄電池は今後ますます進化し、ニーズが増えるにつれて市場も対応することとなり、それにつれて普及も進んでいくでしょう。ただ、ポータブル電源の性能向上やEV車の普及も進むでしょうから、そうなったときにどれが最も選ばれるようになるか。今後の動向をしっかり見ていきたいと思います。

これから個人でエネルギーを自給自足できる可能性が高まっていくことは間違いありません。皆さんには、この機会に家の防災対策を見直すと同時に、電力の備えについてもぜひ考えてみてほしいと思います。

高荷さんのお宅のソーラーパネル
高荷さんのお宅のソーラーパネル。設置10年になり、家庭用蓄電池を検討中。
高荷さんが用意しているポータブル電源と小型ソーラーパネル
高荷さんが用意しているポータブル電源と小型ソーラーパネル。家庭用蓄電池を設置したら、災害時も電力はバッチリ。

うんうん。まずは考えてみることからだな。
分からないことは、このサイトで問合せも出来るみたいだぞ。

高荷智也 さん PROFILE

合同会社ソナエルワークス代表
備え・防災アドバイザー

1982年、静岡県生まれ。「備え・防災は日本のライフスタイル」をテーマに、大地震や感染症などの自然災害から、銃火器を使わないゾンビ対策まで解説をする防災の専門家。講演・執筆・メディア出演の他、防災YouTuberとしても多くの動画を配信中。

防災のプロが家庭用蓄電池のあるお宅を訪問!(前編) エアコン室外機よりも静かな音にびっくり

防災のプロが家庭用蓄電池のあるお宅を訪問!(前編) エアコン室外機よりも静かな音にびっくり

今回は、防災食アドバイザーとしても活躍し、コラム「防災のプロが『在宅避難の備え』教えます!」でも登場いただいた今泉マユ子さんが、太陽光パネルと家庭用蓄電池を設置...

詳細はこちら

防災のプロが「在宅避難の備え」教えます!(前編) 上手な備蓄法は「停電ごっこ」「断水ごっこ」から

防災のプロが「在宅避難の備え」教えます!(前編) 上手な備蓄法は「停電ごっこ」「断水ごっこ」から

今回は、「在宅避難」を想定した備えについて、防災士、管理栄養士の今泉マユ子さんに聞きました。...

詳細はこちら

建築の専門家が提唱 停電にも対応できる「防災に強い住宅」を

建築の専門家が提唱 停電にも対応できる「防災に強い住宅」を

今回は、「災害や停電に強い住宅」を芝浦工業大学建築学部長 秋元孝之教授に聞きました。...

詳細はこちら