熱中症は大丈夫? 夏の停電における注意点

台風、大雪、雷などの自然現象には、停電を引き起こすリスクが伴います。停電すると、当然のことながらあらゆる電化製品が使えなくなりますが、台風や雷の多い夏の停電は、特に注意が必要です。理由は、暑さが厳しい中、エアコンも扇風機も使えなり、熱中症の危険性が高まるからです。それだけでなく、冷蔵庫にも影響が…。夏に停電したら、どのようなことに気をつければよいのか確認しておきましょう。

  1. 夏の猛暑の中で停電が発生するとどうなる?
  2. 夏の停電における注意点と必要な対策
  3. 停電時にエアコンや冷蔵庫を利用するには?

夏の猛暑の中で停電が発生するとどうなる?

最近の日本は、毎日のように猛暑が続くことも珍しくありません。地域によっては、体温以上の気温になることもあります。そのような暑さの中、停電が発生したらどうなるのでしょうか。

冒頭でも触れましたが、エアコンも扇風機も使えなくなります。熱中症対策として「適切なエアコンの使用を心がけましょう」と呼びかけられていますが、それができなくなるということです。何かしらの対策を講じないと、熱中症になる危険性が高まります。

もうひとつ気をつけなければならないのが、冷蔵庫です。電気が止まってしまうため冷気が送られず、庫内の温度が上がってしまいます。もちろん、ある程度の時間は冷えた状態が持続しますが、エアコンが使えず周囲の気温が上がると、庫内の温度も比例して上がることに。食品、特に生ものの保存に難が生じます。

夏の停電では、エアコンが使えなくなることによる熱中症対策、冷蔵庫をどう扱うかについて、考えておくことが大切です。

夏の停電における注意点と必要な対策

夏に停電したときには次のことに気をつけ、対策を講じるようにしましょう。

停電時の暑さ対策、熱中症予防

夏の停電で第一に考えなければならないのが、暑さ対策です。気温が高ければ高いほど熱中症にかかるリスクも高まりますので、予防にも注意を払う必要があります。
まずは、水分の補給を心がけること。これは、通常の熱中症対策でも言われていることですが、水分といってもお茶やコーヒーは控えましょう。利尿作用があり、水分補給の役目を果たしてくれないからです。望ましいのは、胃腸にやさしい常温の水。汗とともに流れ出た塩分の補給ができるよう、スポーツドリンク、塩あめ、少量の塩なども摂取するようにしましょう。

水分補給のほか、体の熱を逃がす対策も重要です。冷凍庫に保冷剤がある場合は、タオルなどに包み、冷たさの調節をして使いましょう。その際、皮膚の表面近くの太い血管を冷やすと効果的です。具体的には、左右の首の横、左右の脇の下、左右の太ももの付け根です。
冷蔵庫に保冷剤がない場合や、庫内の温度維持のために冷凍庫の開閉を控えたい場合などは、水を利用します。濡らしたタオルを首から下げたり、シャワーを浴びてから風に当たったりすると、気化熱の作用により体の熱が放出されます。浴槽に水を張ってつかれば、体全体を冷やすことも可能です。
そのほか、市販の冷却ジェルや冷却スプレーなども役立ちます。

停電時の食品や飲み物の保管

停電時には、冷蔵庫の食品や飲み物の保管についても注意が必要です。特に夏は、冷蔵庫に入れていても食品が傷みやすい季節であることを念頭に置いて対策をしましょう。

まず心がけたいのが、できるだけ冷蔵庫を開けたり閉めたりしないことです。冷蔵庫のドアを開けると、冷気が外に逃げてしまいます。停電しても、2~3時間であれば保冷機能は持続するといいますが、それは閉じた状態でのこと。飲み物や保冷剤は停電したらすぐに取り出し、クーラーボックスの中に入れ、冷蔵庫は開閉しないようにすることも方法のひとつです。

また、基本的に冷蔵庫は、物を詰めれば詰めるほど冷えにくくなります。ふだんから50%程度の容量にとどめるようにし、肉や魚などの生鮮食品が入れてある場合は、早いうちに使いきってしまいましょう。停電時に限らず、生鮮食品に関しては常に早めに使うことを習慣づけておいたほうが安心です。
一方、冷凍庫のほうは、ものがたくさん詰まっているほうが、保冷時間が長続きします。食品以外にも、停電時に役立つ保冷剤や凍らせるタイプのドリンクなどですき間を埋めておくとよいでしょう。

なお、停電した際、保冷剤を冷蔵庫の上段に、冷蔵庫内のものを下段に置くようにすると、冷気を保つ効果がアップします。熱中症対策のことも考えると、保冷剤はいくつあってもよさそうです。

停電時にエアコンや冷蔵庫を利用するには?

停電したら、基本的に電気の供給が復旧するまでエアコンも冷蔵庫も使うことはできません。しかし、まったく不可能かというと、そういうわけではありません。
家庭用蓄電池を備えていれば、冷蔵庫やエアコンを使うことができます。そうすれば停電になっても普段通りの生活ができますし、猛暑の夏でも安心です。
ただし、エアコンが利用できる200Vの高出力に対応した家庭用蓄電池は、スマートスターLのほか、限られた製品のみとなっています。

参考)停電時におけるスマートスターLの稼働事例(2020年台風10号発生時)

停電はいつの季節でも不自由をもたらしますが、夏の停電は熱中症のリスクが非常に高まります。熱中症は命にも関わることですから、十分な対策が必要です。体にこもった熱の逃し方、冷蔵庫や冷凍庫の使用についても、予備知識があればスムーズに行動できます。お伝えしたことを参考にして、しっかりと対策を考えておきましょう。

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