今後はどうなる? 太陽光発電の売電と自家消費

太陽光発電ではFIT制度により、発電して得た電力を自宅で使用するだけではなく、余った電力を売電することで電気料金を削減できます。しかし、その土台となるFIT制度を取り巻く情勢も変わってきました。賦課金による国民の負担が増大し、売電単価は下落し、まもなくFIT法の新たな改正がなされることも予測されています。そこで注目されているのが、作った電力を売るのではなく、使い切ってしまう「自家消費」という方法です。太陽光発電の現状と自家消費の概要について解説します。

  1. そもそも固定価格買取制度(FIT制度)とは
  2. FIT法における余剰売電と全量売電
  3. 売電しないという選択肢。太陽光発電の自家消費
  4. 買取価格は年々下落…今後は売電より自家消費がお得?

そもそも固定価格買取制度(FIT制度)とは

固定価格買取制度(FIT・FIT制度)とは、太陽光発電に代表される再生可能エネルギー(再エネ)で発電した電力の買取価格を法律で定め、電力会社が買い取ることを義務付けた制度です。再エネの普及を目的として、FIT法(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)に基づいて、2012年7月1日にスタートしました。

再エネで発電した電力を買い取るための費用は、FIT制度によって、電力会社だけではなく国民も負担しています。具体的には、電気料金を支払っている利用者が、「再エネ発電促進賦課金」として使用電力量に応じた額を上乗せして負担しているのです。その金額は、「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」や「電気料金等請求書(電気料金等内訳書)」に明記されています。

しかし一方で、国民の賦課金の負担額増大が問題となってきました。国民が負担する賦課金の総額は、2012年度には1,306億円だったのが、2018年度には2兆4千億円にも達しています。標準家庭が2019年度に負担する見通しの賦課金は年間9,204円で、これは2012年度の686円と比べると13倍以上に増大しています。

また、再エネの中でも太陽光発電の導入量だけが突出して増加してしまったこと、FIT法の認定を受けただけで発電を始めないケースが30万件以上にものぼったこともあって、FIT法は2017年に改正され、改正FIT法として新たなスタートを切りました。しかし、経済産業省はなおもFITの抜本的な見直しに向けて議論を本格化させており、早ければ2020年の通常国会に関連法の改正案が提出される見通しとなっています。このことにより事実上、FIT制度自体が終了となる可能性もあります。

FIT制度とFIT法の今後は、現時点では予断を許さない状況になっているといえます。

「 1.何が変わるの? 改正FIT法のポイントを解説」参照

FIT法における余剰売電と全量売電

FIT法、FIT制度下では、太陽光発電における売電方法は大きく分けて余剰売電と全量売電の2種類があります。

余剰売電

一般的な住宅用に見られるような10kW未満の設備に適用されます。発電した電力はまず自宅で使用し、使いきれなかった余剰電力のみを電力会社に売電します。固定価格での買取期間は10年間で、太陽光発電を導入した時点での売電単価は10年間変わりません。2019年度の場合の売電単価は24円/kWh(出力制御対応機器設置義務なし)と26円/kWh(出力制御対応機器設置義務あり)となっています。

全量売電

メガソーラーや工場などの大規模な発電設備に見られるような10kW以上の設備に適用されます。自身で使用する電力は電力会社から買い、太陽光発電で発電した電力はすべて売電します。固定価格での買取期間は20年間で、売電単価は20年間変わりません。2019年度の場合の売電単価は14円+税/kWhですが、電力の総出力が500kW以上になる場合は入札によって価格が決められます。

売電しないという選択肢。太陽光発電の自家消費

現在ではFIT制度に頼り切ることなく、あえて売電しないという選択肢も注目されています。自家消費といわれる方式です。

自家消費はいわば、太陽光発電を利用して自給自足で電力を作って使うやり方です。そのための手段としてよく知られているのは、太陽光発電システムに加えて蓄電池を導入するものです。日中は太陽光発電によって電力を使用し、夜間は蓄電池に充電した余剰電力を活用します。こうすれば電力会社から購入する電力量を極力減らすことができます。また、エネファームなどの自然冷媒ヒートポンプ給湯機や、電気自動車(EV車)を導入して余剰電力が出ないように使い切るというやり方もあります。

買取価格は年々下落…今後は売電より自家消費がお得?

自家消費を行えば電気代を大幅にカットすることができます。しかも、売電する際の買取価格は年々下落し、今後は電力会社に支払う電気料金単価よりも下がると考えられています。太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの発電コストが既存の電力コストと同等か安価になることはグリッドパリティと呼ばれ、太陽光発電パネルなどのコストが下がり、電気料金が上昇を続けている現在、このグリッドパリティが実現しようとしています。

そのため今後は太陽光発電で作った電力をわざわざ売るより、自家消費してしまった方が経済的メリットを得られる可能性が高くなると見られています。加えて、売電では送電の際にロスが生じるのに対し自家消費でのロスはわずかです。蓄電池があれば非常用の電源としても活用できるメリットも得られます。

これからは自宅に太陽光発電と蓄電池を備えて自家消費するする一般家庭が増えていくことでしょう。

太陽光発電は売電で恩恵を受けていた時代から、自家消費も選べる新たなステージに進もうとしています。今後、蓄電池などを導入し、自家消費することも視野に入れて検討してみてはいかがでしょうか。

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