ブロックチェーン技術を用いたP2P電力取引とは

2019年11月に順次始まった電力の固定買取期間の終了、いわゆる「卒FIT」後の選択肢としてはこれまで、家庭用発電機によって発電した電力を従来通り電力会社に売電するか、もしくは蓄電池などを導入して完全自家消費するしかありませんでした。ところが、近年第三の選択肢としてブロックチェーン技術を用いた「P2P電力取引」というものが注目されています。
そこで今回は、P2P電力取引の仕組みや、ブロックチェーン技術について詳しく説明していきます。

  1. P2P電力取引とは
  2. ブロックチェーン技術とは? PSP電力取引の仕組み
  3. P2P電力取引の取り組み
  4. P2P電力取引が卒FIT後の売電手段に?

P2P電力取引とは

「P2P電力取引」とは、電力の発電側と需要側を直接つなぐ新しい電力取引の仕組みのことですが、そもそもこの「P2P」が何を意味しているのか分からない人もいるかもしれません。

「P2P」というのは「Peer to Peer(ピア・トゥ・ピア)」の略称で、本来は個々の端末(Peer)が中央サーバーを介さずに互いに信頼し合うことで成立するネットワークを意味しています。この通信方式を電力の売買に応用することによって、これまで企業を介して行われて来た電力取引が個人間でも可能になります。

ただし、この「P2P電力取引」を実現するためには、ビットコインをはじめとする仮想通貨取引に使われている「ブロックチェーン」と呼ばれる技術が不可欠だといわれています。

ブロックチェーン技術とは? PSP電力取引の仕組み

「P2P電力取引」を実現するために不可欠な技術といわれている「ブロックチェーン」。もともとはビットコインをはじめとする仮想通貨取引に使われていた技術のことで、簡単にいえば「分散して管理される公開台帳」のようなものです。例えば、「AさんがBさんに○を販売した」というような取引データのことを「トランザクション」と呼び、このトランザクションが複数集めたものを「ブロック」と呼びます。そして、このブロックが連なるように保存されたものが「ブロックチェーン」です。

では、実際に「P2P電力取引」を行う上で、このブロックチェーンはどのように活用されるのかを見ていきましょう。そのポイントとなるのは、ブロックチェーン技術の3つの特徴です。

耐改ざん性

ブロックチェーンは公開されていて誰でも見ることができるため、ユーザーが互いに監視し合うことで不正な改ざんを防ぐことができます。取引情報を正しく管理することができるため、従来のシステムと比較してセキュリティや管理運用面でのコストを削減することも可能です。

取引履歴がセキュアで正確

ブロックチェーンでは個人情報ともいえる取引履歴がハッシュ関数で暗号化されているため、詳細な情報が他人に知られることはありません。透明性は維持しつつ高いセキュリティを確保することができます。

スマートコントラクト

ブロックチェーには「スマートコントラクト」と呼ばれる契約の自動実行機能が組み込まれているため、契約者の希望や要望をあらかじめ定めておくことで、自動的に契約を実行することができます。
「P2P電力取引」では、発電者と電力を必要とする人がそれぞれ「Peer」となって1対1で取引を行い、その取引記録のために上記に挙げたブロックチェーンの特徴を用いるというわけです。

P2P電力取引の取り組み

新しい電力取引のプラットフォームとして注目されている「P2P電力取引」ですが、個人間での電力取引が自由に行われることで必要になる最適な配電系統の設備形成や運用方法のあり方、法整備など検討すべき課題が多く、詳細なビジネスモデルが確立されていないのが現状です。

とはいえ、P2P電力取引が実現すれば災害や事故などで電力が不足した場合でも電力を補い合うことができたり、再生可能エネルギーの普及が進んだりと大きなメリットが得られるため、電力会社やガス会社は導入に向けて前向きの姿勢を見せています。

例えば、2017年に東京電力がドイツの大手電力会社とP2Pプラットフォーム事業を共同で行うことを発表し、関西電力では2018年にオーストラリアの企業と共同でブロックチェーンを活用した太陽光発電システムによる余剰電力のP2P取引の実証実験を開始するなど、ブロックチェーン技術を用いた電力システムの開発が始まっています。

P2P電力取引が卒FIT後の売電手段に?

太陽光発電による余剰電力を10年間に限り高値の固定価格で買取ることが法律によって保証されている「FIT制度」。2009年にこの制度がスタートしてから2019年11月で10年が経過し、固定買取期間が終了となる対象者が順次出て来ることになります。

いわゆる「卒FIT」は、制度による保証がなくなる代わりに、制度によるさまざまな制約からの解放も意味しています。従来の電力システムが卒FITによって大きく変化する今後は、P2P電力取引は新たな売電手段のひとつとしてより注目されていくことが予想されています。

ブロックチェーン技術を用いたP2P電力取引が実現すれば、私たちの生活はより安全で効率的なものへと変革していきます。まずは上記でご紹介した内容を参考にその概要を理解した上で、今後もP2P電力取引の動向に注目していきましょう。

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