売電量が減る? パワコンの電圧抑制とは

太陽光発電システム導入の大きなメリットは、余剰電力を電力会社に買い取ってもらうことで収入を得る「売電」です。実際に太陽光発電を設置しているご家庭では、より多くの電力を供給して、売電収入を増やしたいと考える方も多いと思いますが、実際には「電圧抑制」によって発電しているのに売電できないという状況も起こり得るのです。
今回は、売電収入を左右する「電圧抑制」について、その仕組みや対策など詳しく解説していきます。

  1. 売電における送電の仕組み
  2. 電圧抑制とは
  3. 電圧抑制が起こる原因
  4. 電圧抑制への対策は可能?

売電における送電の仕組み

電圧抑制について詳しく知るためには、まず売電における送電の仕組みをおさらいしておきましょう。

ご存知の通り、電気には「電圧が高いところから低いところへ流れる」という特性があります。電力会社から電気を買う場合にはこの特性を利用して、電柱と家とを結ぶ電線の電圧を家庭内の配電線の電圧よりも高く設定し、自然と家庭へ電気が流れるようにしています。反対に電力会社へ電気を売る「売電」を行う場合には、家庭内の配電線の電圧を、電柱と家を結ぶ電線の電圧よりも高く設定することで電気を逆流させて、家庭で発電した電気を売っているのです。

つまり、電気を買うときも売る時もそれぞれ別の電線が用意されているわけではなく、同じ電線の電圧を調整することによって電気の流れる向きを変えているというわけです。その役割を果たしているのがトランスやパワーコンディショナーと呼ばれる設備で電圧を調整して電気を送り出しています。

電圧抑制とは

日本には電気事業の運用や規制などについて定めた「電気事業法」と呼ばれる法律があり、電柱と住宅を結ぶ電線と太陽光発電の電線を結ぶ接続点の電圧は「101Vプラスマイナス6Vを超えない範囲内とする」ということが定められています。つまりその部分の電圧は95V〜107Vを維持しなくてはいけない決まりになっているのです。

そのため、電力会社が家庭に電気を送る場合には、電柱の上部に設置されたトランスで、高圧線から流れる電流を100V前後の電圧に変換し、家庭に供給できるようにしています。

太陽光発電によって発電された電力を売電する場合には、パワーコンディショナーで電圧を上げることによって、電力会社側の電線に電気が流れるようにしています。

このパワーコンディショナーによって高められる上限も電気事業法によって107Vが上限と定められています。つまり、電線内の電圧が上限の107Vだった場合には、それを超過すると電気事業法に抵触することになってしまうため、余剰電力があっても電圧が抑制され、売電することができません。これが「電圧抑制」です。

電圧抑制が起こる原因

売電量に影響を及ぼす電圧抑制には、起こりやすい環境というものがあります。その主な特徴を詳しく見ていきましょう。

トランスから遠い

電柱の上には電線に流れる電圧を調整する「トランス」と呼ばれる箱が設置されています。売電が行われているときには電線内の電圧が上昇するため、トランスに近い家で売電が行われると、トランスから遠く離れていた配電系統の末端に位置する家庭では、電圧抑制が起こりやすくなります。

配線の問題

電柱から家までが離れていて電線の距離が長くなる場合や、引込点からパワコンまでの距離が離れている場合も電圧降下が起こりやすいため家庭の電圧が低くなってしまう場合があります。

消費電力の急激な低下

近隣に工場や学校といった電力使用量の多い施設がある場合、その施設が稼働している間は売電をすることができますが、休みになった場合に急激に消費電力が低下してしまうため、電線内の電圧が高くなり電圧抑制が行われてしまいます。

電圧抑制への対策は可能?

電圧抑制の原因が立地条件などの環境に起因する場合、思うように売電することができずに売電収入にも影響が出てしまうことがあります。電圧抑制が頻繁に発生している場合には、何らかの対策をする必要があるでしょう。ここでは、その具体的な方法について詳しく説明していきます。

配線の見直し

家がトランスから離れている場合や、引込点からパワコンまでの距離が遠い場合には、家の近くに引込柱を立てトランスを新設したり、引込線や内線を太い線に張り替えたりすることで解消できる場合があります。ただし、新設や張り替えにかかる諸経費は通常、自己負担になるため事前に確認しておく必要があります。まずは業者に相談をしてみましょう。

蓄電池を導入する

蓄電池を導入することで、発電した電力を貯めておいて自家消費するというのも方法の一つです。売電による収入は得られなくなってしまいますが、電力会社から買う電気の量が減るため、電気代を削減することが可能です。また、蓄電池に電力を貯めておくことで、夜間だけでなく災害時の非常用電源として活用できるというメリットもあります。

電圧抑制は売電量、そして売電収入に大きく影響します。その仕組みを正しく理解し、しっかりと対策をしていきましょう。上記の内容を、ぜひ参考にしてください。

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