太陽光発電で蓄電池を導入するメリット

「家庭用蓄電池」を有効に活用している一般家庭が増えています。とくに太陽光発電システムと併用することで、蓄電池は私たちの生活にさまざまなメリットをもたらしてくれます。家庭用蓄電池とはそもそもどのような装置で、どのようなことに役立つのかなど、身近になってきた家庭用蓄電池のメリットや活用法について解説します。

  1. 太陽光発電と併せて設置したい「家庭用蓄電池」とは
  2. 家庭用蓄電池を導入するメリット
  3. 家庭用蓄電池を導入するデメリット

太陽光発電と併せて設置したい「家庭用蓄電池」とは

家庭用蓄電池とは充電して電力を蓄え、一般住宅用の電気として使用できる装置のことです。とくにここでは、通常のコンセントからだけではなく、太陽光発電の余剰電力も充電できる新しいタイプの蓄電池について取り上げます。

家庭用蓄電池が注目されている背景には、太陽光発電との相性の良さに加えて、FIT制度における2019年問題の存在が関係しています。

FIT制度とは固定価格買取制度のことです。そして2009年に始まったFIT制度では、太陽光発電で発電した電力を固定価格で売電できる期間が、10kW未満では10年間、10kW以上では20年間と定められています。2019年問題とは、2009年からスタートしたFIT制度が10年を経て、2019年10月に初めて買取期間の満了を迎える設置者が出てくることに関連した問題を指す言葉です。

2019年問題の影響を受けることになる太陽光発電設置者は、その後、大手電力会社や新電力を対象に売電を続けることもできますが、売電単価は大幅に安くなります。そこでいわゆる「FIT卒」後には、あえて売電をすることをやめ、家庭用蓄電池を使って太陽光発電で作り出した電気を使い切る「自家消費」を実施する方法が注目されています。

家庭用蓄電池を導入するメリット

現在、家庭用蓄電池は蓄電容量4~12kWh、放電時間は10~24時間といったスペックを持つものが人気です。太陽光発電用の装置を製造しているメーカーが発売しているモデルも多く、当然、太陽光発電との併用も可能となっています。

家庭用蓄電池を太陽光発電システムと併せて導入する場合は、太陽光発電で発電した電力を貯めて使用できるのが最も大きなメリットとなります。その分、電力会社から買電する電力を減らし、電気代を節約できるからです。また、電力会社が供給する電気を使う場合も、料金の安い夜間に電気を家庭用蓄電池に充電し、日中に使うことができます。その分、日中の余剰電力を増やすことができるため、売電による収入を増やすこともできます。

自家消費を実践することで、日中は太陽光発電による電力を使い、夜間は蓄電池に充電した余剰電力を活用することで電力会社から購入する電気の量を極力減らすことができます。電気を電力会社から買うのでも、太陽光発電で得た電気を売るのでもなく、家庭内で使い切ることが可能になります。今後は今よりも売電価格が下がり、電気料金は上がることが予想されるため、自家消費が徹底できれば経済的に大きなメリットが得られるはずです。

また、家庭用蓄電池は非常用電源としても活用できます。太陽光発電と蓄電池を備えていれば、災害時でも平常時に近い形で電気を使うことができるでしょう。

家庭用蓄電池を導入するデメリット

家庭用蓄電池を導入するデメリットもないとは言えません。

まず、家庭用蓄電池を使えるようにするには、当然、初期投資がかかります。太陽光発電と連携できる家庭用蓄電池は決して安価なものではありません。もしも太陽光発電も新設しなくてはならない状況であれば、両者合わせての費用の負担はかなり大きなものとなります。ただし、蓄電池も太陽光発電も、購入にあたっては国や自治体による補助金制度を利用するできるケースもあります。買ってしまう前に補助金についても調べておくとよいでしょう。

家庭によっては、蓄電池に適した設置スペースを確保しなければならないのがネックとなることもあります。家庭用蓄電池には屋内設置タイプと屋外設置タイプがあり、屋外の場合は直射日光が当たらず、高温多湿でなく、ある程度の広さのある場所を選ばなければなりません。塩害地域や寒冷地、積雪の多い地域には屋外設置タイプは向きません。屋内の場合は分電盤や接続機器に近い場所に置く必要があり、なおかつ、やはり高温多湿な場所は避け、雨や水のかかる場所にも置くことはできません。設置場所によっては運転音による騒音が気になることもあります。

さらに、導入済みの太陽光発電システムと異なるメーカーの蓄電池を導入すると保証の対象外となることがあります。また、蓄電池は使用するたびに劣化していくため、製品ごとに使用期間(寿命)が決まっています。数年~15年程度使えば買い替えが必要になるでしょう。

太陽光発電と家庭用蓄電池を併用することで、光熱費の削減、自家消費という形による卒FIT後対策、あるいは災害対策が可能になります。現在、太陽光発電を利用しているという場合、あるいはこれから太陽光発電を導入する計画がある場合も、家庭用蓄電池を併せて導入することを検討してみることをおすすめします。

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