2019-09-12

何が変わるの?改正FIT法のポイントを解説

# 太陽光発電の基礎知識

2017年から「改正FIT法」が施行されています。FIT法とはそもそもどのような法律で、なぜそれが改正されたのか、太陽光発電を導入している人が押さえておくべき改正FIT法のポイントについて解説します。

固定価格買取制度とは

「固定価格買取制度」、正式名称「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(FIT法)は2012年に創設されたものです。

「固定価格買取制度」はFIT(Feed in Tariffの略)とも呼ばれ、太陽光、風力、地熱等の再生可能エネルギーで発電した電気を、国が定めた価格で一定期間買い取り続けることが電力会社に義務付けられている制度で、再生可能エネルギーの普及を目的として、開始されたものです。

電力会社の買取価格は、決められた期間中は変動することなく、家庭用太陽光発電(10kW未満)は10年間、地熱発電は15年間、事業用太陽光発電(10kW以上)・風力・水力・バイオマス発電は20年間、買い取ることが決められています。

改正FIT法とは

FIT法は2017年に改正され、「改正FIT法」、正式名称は「再生可能エネルギー特別措置法の一部を改正する法律」となりました。改正により、2017年4月から新しい固定買取制度がスタートしています。

旧FIT法が見直されることになった背景

では、なぜ旧FIT法が見直されることになったのか? ポイントは以下3点

1. 国民負担の増加

FIT法では再生可能エネルギー(再エネ)で発電した電力を電力会社が買い取ることが義務付けられていますが、買取費用の原資は何でしょうか?それは電気料金を支払っている国民が負担してる「再生可能エネルギー発電促進賦課金」です。2012年度に1,306億円だった賦課金(国民負担)総額は、2018年度には2兆4千億円にも達しています。標準家庭が2019年度に負担する見通しの賦課金は年間9,204円で、これは2012年度の686円と比べると13倍以上に増大しています。

2. 偏る太陽光発電の導入

再生可能エネルギーのうち、太陽光発電の導入量だけが突出して増加したことも問題視されました。本来、FIT法は太陽光発電の他に、風力発電、中小水力発電、地熱発電、バイオマス発電という5種類の再エネの普及促進を目的としていました。ところが太陽光発電はそれらの中で最も参入障壁が低く開発のリードタイムも短かったために急速に普及していきます。結果、FIT法開始後の太陽光発電の設備認定量が再エネ全体の約9割を占めるほどの偏りを生じさせることとなりました。日差しのある時間しか稼働できない太陽光ばかり導入されたのです。

3. 売電権利を行使しない案件の多さ

FITの認定を受けただけで発電を始めないケースが30万件以上にものぼったことも想定外でした。旧FITでは稼働開始時期についてとくに期限がなく、売電単価の権利が簡単な手続きだけで確保できてしまったからです。売電単価は年を追うごとに下がっていったため、時間が経つと太陽光パネルの価格が下がって導入コストが抑えられ、それでいて売電単価は高いまま維持されるという状況が生まれました。発電を始めなかった事業者は不当な利益を得ることになり、結果的に国民の負担増大が助長されることが懸念されるようになったのです。

改正FIT法のポイント

そこで改正FIT法では、上記の問題点を踏まえたさまざまな対策が打ち出されています。

1. 新しい認定制度

従来の認定制度では主に設備要件が審査の対象となっていたのが、事業の実施の確実性や事業内容の適切性(事業認定)、設備の適切性を重視して認定するように切り換わりました。
そのため改正FIT法では、先に電力会社との接続契約を締結していなければ認定を受けられなくなっています。併せて土地利用に関する法令を遵守すること、適切な期間内に運用を開始することも要件とされています。

2. メンテナンスの義務化

また、発電設備の保守点検・メンテナンスが義務化されたのも重要なポイントです。ガイドラインにある点検項目を満たしたメンテナンスを実施するとともに、メンテナンスごとのレポートを保管し、求めがあれば提出することとされています。

3. みなし認定

旧FITで認定を取得し、電力会社と接続契約を締結している場合は、新FITでも認定を取得したものとみなされます。

4. 運用開始期限とパネル変更

認定を受けた日から売電開始(連系)するまでに、期限が設けられました。事業計画の認定日から一定の期限内に発電開始しなければペナルティが発生します。
事業計画認定の取得日を起算日として、事業用太陽光(10kW以上)の場合は取得から3年、家庭用太陽光(10kW未満)の場合は取得から1年が期限とされています。この期間内に運転を開始しない場合、事業用太陽光は買取期間の短縮、家庭用太陽光は認定失効のペナルティが課せられることとなります。

また、太陽光発電においては価格変更ルールが一部見直され、認定取得後の太陽光パネル変更ができるようになりました。従来の制度では、認定取得後に設備を変更する場合は変更した年度の買取価格(売電単価)への変更が必要でした。しかし新制度では、送配電事業者と接続契約を締結する際、太陽電池のメーカーの変更、太陽電池の種類の変更、太陽電池の変換効率の低下、10kWかつ20%以上の出力の減少に関して変更認定を行っても、価格が変更されなくなりました。

2020年度にもFIT法の改正を予定

FIT法は早ければ2020年の通常国会に関連法の改正案が提出されるといわれています。経済産業省はFITの抜本的な見直しに向けて議論を本格化させており、事実上、FIT制度自体が終了となる可能性もあります。

FIT制度が開始から10年経ち、2019年に11月からは固定価格での買取期間が満了する家庭が出てくる「2019年問題」の存在も事態を複雑にしています。まもなく再エネの売買単価は固定ではなくなり、競争入札制や卸電力市場への直接販売など市場をベースにしたものになるという観測もあります。ただし、その主な対象はメガソーラーなどの大規模な設備であり、家庭用の太陽光発電に関しては引き続き買取が存続されるとの意見もあります。

いずれにしろ、FIT法がどのように改正されるのか、FIT制度が新しい制度へと置き換えられていくのか、今後の動向を見守る必要があります。

太陽光発電を導入済みの人も、これから導入する人も、改正FIT法について正しく理解しておくことが重要です。またごく近い将来、FIT制度にかかわる新しい動きがあることも知っておきましょう。