2019-11-29

太陽光発電の過積載とは?知っておきたいメリットと注意点

# 太陽光発電の基礎知識

太陽光発電を設置する大きなメリットの一つでもある「売電」ですが、2019年11月ごろから固定価格買取制度(FIT)が順次終了を迎えることで、買取価格が低下することが懸念されています。投資目的で太陽光発電を導入している方にとっては、リターンが減ることになるので、どうにかして売電収入を増やすことはできないかと考えている方も多いのではないでしょうか。その対策の一つが太陽光発電の過積載です。過積載は国も推奨するテクニックですが、導入方法を誤るとデメリットとなってしまうリスクもあるため注意が必要でしょう。
今回は、太陽光発電の過積載について、メリットと注意点を詳しく解説していきます。

発電量を増やす太陽光発電の過積載

「過積載」というとトラックの過積載などを思い浮かべて、なんとなくネガティブなイメージを持ってしまう人もいるかもしれませんが、太陽光発電の過積載は決して違法性のあるものではありません。

太陽光発電は、住宅の屋根に設置されたソーラーパネルに太陽の光エネルギーを集めることによって発電する仕組みで、発電した電気を家庭内で使用できる電圧に変換しているのが「パワーコンディショナー(パワコン)」と呼ばれる機器です。

「過積載」というのは、このパワーコンディショナーの容量よりもソーラーパネルの容量を多く設置することを意味しています。具体的な例を挙げると、容量が49.5kWのパワーコンディショナーに75kWのソーラーパネルを設置するような場合です。

過積載のメリット

容量が49.5kWのパワーコンディショナーに、定格出力75kWのソーラーパネルを設置したとしても、発電できる上限はパワーコンディショナーの容量である49.5kWです。では、過積載をすることのメリットとは一体どのような点にあるのかというと、それは「パワーコンディショナーがフル稼働する時間を多くする」ということです。

太陽光発電というのは、太陽が昇り始めるのと同時に発電をスタートし、日照量が増えるのに伴って発電量が多くなります。日照量はお昼をピークに徐々に少なくなっていき、発電量を表で表すと山のような形状を描くのが一般的です。つまり、発電量がパワーコンディショナーの容量を満たしている時間というのは1日の中でもそれほど長くはないということが分かります。

そこで、パワーコンディショナーの容量よりも大きいソーラーパネルを搭載する「過積載」を行うことで、朝や午後など日照量が落ちて発電量が少なくなってしまう時間帯の発電量を増やそうというわけです。

パワーコンディショナーがフル稼働する時間を増やすことによって、より多くの売電収入が得られるということが過積載を導入することの大きなメリットだといえるでしょう。

過積載の注意点

過積載は正しく導入すれば売電収入を増やすことができるなどメリットにつながることをお話ししましたが、過積載をする上で気をつけなくてはいけないこともあります。ここでは、過積載の注意点について詳しく見ていきましょう。

パワーコンディショナーは基本的にどのメーカーであっても10年前後のメーカー保証がついていますが、過積載の方法によってはメーカーの保証対象外になってしまうケースもあります。過積載できるパネルの容量を規定しているメーカーや、同一メーカーのパネル以外は保証を認めていないケースもあるため、詳しい条件については事前に必ず確認しておきましょう。

また、FIT認定を取得した後に「3kW未満かつ3%未満の範囲を超える増設」をすると、ペナルティによって売電価格がより少なくなってしまうケースもあることを念頭に置いておきましょう。

売電収入を多く得ようとしてパネルを多く載せると、当然その分パネルにかかるコストが高くなります。過積載のコストがかさんで回収時間が長くなってしまうリスクもあるため、収益構造を正しく把握しておく必要があります。

過積載はした方がよい?

過積載は正しい方法で導入すればより多くの売電収入を得ることができるため、そのメリットは大きいといえるでしょう。とはいえ、無計画にソーラーパネルを増やせば良いというわけではなく、ソーラーパネルとパワーコンディショナーとの割合やパネルを増やすことにかかるコスト、どのくらいの発電量増加が見込めるかといった収益構造を正しく理解しておくことが重要です。

また、既に太陽光発電システムを設置していて増設をする場合にはリスクも伴うため、慎重に考慮した上で計画的に進めていくとよいでしょう。さまざまなリスクを避けるのであれば、基本的には太陽光発電を設置する最初の段階で過積載を導入するのが理想的です。

売電価格が大きく低下している今、過積載は発電量を増やして売電収入を確保できというメリットがありますが、太陽光発電を設置後に増設による過積載を行う場合にはリスクが発生する可能性もあります。導入する場合には、メリットだけでなくデメリットの部分も正しく理解した上で、慎重に検討していきましょう。